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SNK シューティングヒーローズ

2010.06.24 KOFはここから生まれた!? 究極描き込みシューティング!~ラストリゾート~

シューティングファンのみなさん、こんにちわ!
SNKプレイモアでゲーム屋をしています、松下と申します!(2度目)。
今回は2回目ということで、「ネオジオ」の作品を紹介したいと思います。

「ネオジオ」というのは、1990年に発売された、アーケードゲーム基板&ゲーム機です。
68000(12MHz)CPUに、多彩なサウンド機能、BGはないものの380本キャラが出せるラインスプライトを搭載、
キャラクターのオートアニメーションなど、斬新な機能を搭載した…
…あ…いまさら言うまでもないかもしれません…つい夢中に…。

というわけで、この「ネオジオ」では、格闘ゲーム、アクションゲーム以外にもシューティングゲームも多数リリースされていました。
(ちなみに私もネオジオでシューティングゲームを作ったことがあります)
その中でも、究極の描き込みの美麗CGと、実直なゲーム内容で数々のユーザーを魅了した…
「ラストリゾート」です!

※タイトル画面から描き込んでいる(笑)
※このアニメもすごい!

※独特なメッシュちっくなドット打ちや火のエフェクトなどはまさに「KOF’94」です

このゲームは1992年のネオジオ初期に、SNKがリリースした、近未来型横スクロールシューティングゲームです。

この「ラストリゾート」は某人気ゆうめい名作シューティングを作った精鋭スタッフの方々が舞台を「ネオジオ」に移し、制作したと言われています。
某ゆうめい名作シューティングは初期、「LASER」のLが付く予定だったと聞いた事がありますが「ラストリゾート」はなんと、頭文字に「L」がついていて、ちょっと(ゲーオタ的に)感動しました(笑)。

この「ラストリゾート」ですが、この超絶グラフィックを仕上げたスタッフの素晴らしい技術はあの大ヒット格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS’94」に引き継がれていくことになります。

職人ドット集団

何度も書いていますが、この「ラストリゾート」の凄いところはドット絵の尋常じゃないくらいの描き込みです。
アニメーションをするタイトル画面からすでに、職人集団のこだわりがわかります。
「ウ○○○○8○」のタイトルか!と思いました(笑)。

ゲーム内も敵が「機械生命体」という設定にふさわしく、重厚な描き込みと、パースをしっかり考慮した作画が息をのむクオリティです。
例えば1面は「サイバーパンク」的な未来イメージをネオジオで完璧に表現しており、「エンキ・ビラル」氏の魂がドットに乗り移ったようです

※素晴らしいビル街!ネオジオで赤や紫を綺麗に作画するのは難しいのです

描き込みに負けちゃいないゲームシステム

「ラストリゾート」のゲームシステムも重厚なグラフィックに負けてはいません。
自機の「TZ-024」は、自由に操作が可能な高軌道ユニットと、パワーアップするスペシャルショットが装備されています。
「高軌道ユニット」は「自転」「公転」などの自在な操作に加え、ため撃ちの「ユニットシュート」、獲得した色による「リターン」「グランド」などの攻撃の変化が可能になっています。
自機は「ノーマルショット」の他に、「レーザー」「ホーミング」「対地ミサイル」という3種類のアイテムで面に合わせた多種多様な攻撃が用意されています。

※画面に映っているのが「レーザーアイテム」です

多彩な敵キャラクター

「ラストリゾート」自体はトリッキーな世界観ではなく、かなり「正統派」の部類なのですが敵キャラは「正統派」ながら個性のあるキャラクターが多いです。
こだわった「描き込み」もあり(こればっかりですが、本当にすごいんです…!)「ラストリゾート」ならではの存在感を出しています。

私はグラフィッカーあがりでもありますので、「ラストリゾート」のこだわりには、このゲームの発売から数年後に実際にネオジオで作業するにあたり、感銘を受けました。

【カッコいい敵キャラの一例】
1面ボスの「ブラッケン」はまさしくメカスケルトン!という感じで非常にカッコよく
(グラデーション処理がソリッドでいい)、思わずス○○ネ○トに送り返したくなる感じです(笑)。
2面の「グスタフ」は多関節処理のヘビキャラなのですが、丁寧な回転アニメーションもあり、
鮮烈な印象を残しています(これは、手抜きをするとろくな見た目になりません)。
ここは当時のプログラマーのセンスも光りますね。
4ステージの「メタルビー」はドロップを落としてくるやっかいな敵(説明書より)なのですが
見た目もコミカルで、たまにアイテムも落としてくれるおもしろいキャラだと思います。

※1ステージの中ボス「アイアンクロー」…かっこいい!

落ちる仲間(元)!

「ラストリゾート」で特徴的なのは「落ちる人間」です。
敵機を倒すと人間がぽとぽと落ちて行くのですが、この人間は元仲間で機械生命体によって敵にされている設定で、コミカルな演出とは別にかなり悲しい構図です。
高次面で敵が増えると、ネオジオのラインスプライトの限界を超えた処理負荷がかかるのも見ていて面白いです。

すでに、92年にはネオジオの音源は使いこなしているッ!

「ラストリゾート」で特出するべきは、その素晴らしい音楽です。
92年ですでにネオジオのFM音源やPCM音源を存分に使いこなしています。
サウンドチップが進化した今では逆に「ラストリゾート」のサウンドは改めてその衝撃を味あわせてくれます。
個人的にはステージ1の「JACK TO THE METRO」がお気に入りです。
サントラも出ていますので、気になる方はチェックして下さい。

シューティングゲームが「凄かった」ギリギリの時代

ちょっと挑発的な書き出しで恐縮ですが、私自身96年にシューティングゲームを作っていた者として…そして、シューティングが大好きないちファンとして書かせていただきます。

シューティングゲームはゲーム界最古のジャンルであり、長らく「花形」ジャンルでした。
コンシューマゲームでは「アクション」そして「RPG」などの非アクションゲームの台頭により、早い段階で衰退がはじまっていましたが
アーケードでは「手軽に遊べる」「低時間で遊べる」「インカムが稼ぎやすい」などの理由で他のジャンルが登場してきてもシューティングはいちジャンルとしてしっかりと存在感を出しておりました。(実際には80年代後期から、少しずつ流れが変わってきたと思っています)

その風向きが完全に変わるのが「格闘ゲーム」の登場からでした。
「手軽」「競技性」「インカム」、全てにおいてアーケード向きだった「格闘ゲーム」の出現で「シューティング」というジャンルの立ち位置が一気に危うくなりました。(91年当時は空前絶後の「対戦格闘ブーム」で、SNKもネオジオで「餓狼伝説」をリリースしています)

この「市場の変化」の狭間に「ラストリゾート」は発売されました。
個人的に「対戦格闘ブーム」がはじまる前のシューティングが強かった時代、はじまった後のシューティングクリエイターの「抵抗」の時代の「ほんの短い間」は、シューティング界が「シューティングの危機」を知っていたかのように、鬼気迫る、凄まじい高クオリティのシューティングゲームが出ていたと思っています。

※実は97年からの「弾幕シューティングゲーム」のブームでかなり息を吹き返しますが(笑)

「ラストリゾート」はその時代を代表するシューティングゲームであったのではないでしょうか。
当時のスタッフの多くは、「THE KING OF FIGHTERS’94」の制作にシフトしていて、時代の流れを感じさせてしまいますが、このまま、シューティングゲームがアーケードの王として台頭し、生き続けていたらどんな「進化」を遂げたのだろうと、今でも夢想してしまいます。

※「ラストリゾート」のロムの説明書です。
めちゃくちゃ絵がカッコいい!

おわりに

ちょっとしんみりしてしまいましたが、「ラストリゾート」が傑作シューティングだということは間違いありませんし、
「ネオジオ」だけではなく「アーケード」でもその後に多種多様なシューティングは出ていました。
「パルスター」や「ブレイジングスター」は「ラストリゾート」の直系ではないかもしれませんが「ラストリゾート」の魂をじゅうぶん引き継いでいる内容だと思います。

この「ラストリゾート」ですが、PSPの「SNK ARCADE CLASSICS Vol.1」でも遊ぶことが出来ますので、機会があればぜひプレイして、
当時の雰囲気を味わっていただけたら幸いです。

僕も、久しぶりにシューティングが作りたくなりました!(いや…実は…)
では!また1ヶ月後にお願いします!

※次回は、ゲーム黎明期のあの「忍者シューティング」の予定です。

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